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歩み出せるなら

第5章 宇宙に惹かれて


ヒルデは真っ白なモビルスーツに身を包んでいた。
体にフィットしたそのスーツは彼女の美しい曲線を際立たせていた。

「頼む、戻ってくれ・・・。」

より強く彼女を抱き寄せる。
そして、初めてヒルデがイザークの背中に手を回した。

「ヒルデ・・・。」

嬉しさで思わず顔がほころぶ。

「彼の気持ちが少しだけわかったような気がします・・・。」

「ヒルデ・・?」

「この腕を話せないのは貴方ではなく、私・・・・。欲張りだから・・・・。今なら離してあげられる・・。」

「どういうことだ・・・?」

彼女は悲しそうに笑うとイザークに触れるだけのキスをする。

「私には未来がありません。華やかな未来がある貴方を連れてはいけない。巻き込んでいけない・・・・。」

「どういうことだ?」

彼女の背中の扉が開く。
イザークは掴んでいた手に力が入っていないことに気がついた。
しかし、それは遅すぎた。
彼女は片足で床を蹴ると、吸い込まれるようにモビルスーツのハッチへと入っていと同時扉が閉まる。

「どういうことですか!?8番デッキ勝手に開きます!!!」

動揺したクルーの声が響き渡る。

「今すぐ止めろ!!!!」

近くにあった通信機でイザークが止めるすでに遅く、壁の向こう側の音で発信したことがわかった。

「なんで!?この機体が出てるの!?」

キラの通信が入る。

「わ、わかりません!!!」

艦長が返事をする。

ヒルデの機体ケニングは音速を超えて、光に近い速さで的に突っ込む。

「危ない!!!」

ケニングが敵モビルスーツとすれ違い始めた場所から直線上に爆発が起こる。

そしてその爆発が止まり次は円形にその爆発が始まる。

「危険だ!そんな戦い方!!」

キラの声が聞こえる。
しかし、数で圧倒的に負けていたこちら側にとって重要なモビルスーツになってしまった。
今更引けとは言えない。

「ガナーザクウォーリア被弾!帰投します!」
「ザクウォーリア被弾!応答なし!」
「ザクウォーリア被弾!応答なし!」

仲間にも被害が出始めている。

「ケニング・・・15機撃墜・・・。」

「すごい・・・。」

思わず感想が漏れたものもいる。

だが、胸騒ぎがする。
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