第5章 宇宙に惹かれて
「乗ったことはある・・・。」
「戦場に出たことは?」
「誰だって初めてはあるわ。」
「危険だよ!!誰かの命を奪い、また奪われる場よだよ!?意地だけでは出撃させれないよ。頼るつもりだったけど、ヒルデは待機ね!」
珍しくキラが強い口調で話す。
ヒルデはそれを人睨みすると、自身のモビルスーツの方へと向かっていった。
ケニング・・・。
「私の機体。これでやっと戦える・・・。生体認証で動く特注品だ。」
この機体で全て証拠を壊してこいというのが、父の望みだ。
だが、もう望み通りに動く気はない。
父は裁かれるべきだ。
私のような存在が生まれないように。
「でも・・・。私が終わらせる・・・。」
それが、冥土の土産になるだろう。
「熱源反応確認!!!所属不明!!戦艦クラスのものと推定されます!」
「数は?」
「数は2!」
「第二次戦闘配備だ!いつでも戦えるようにしておけよ!!」
イザークの指示により誰もが気を引き締める。
まだ、熱源を感知したというだけで必ずしも戦闘するわけではないが、艦に侵入されたこともある。
「イザーク!」
「キラ・ヤマト?どうした?」
「うん、ヒルデがいなくて・・・。」
胸がざわつく。
「俺が探す・・・!ディアッカと・・!!」
「隊長!!ミサイルが飛んできます!!迎撃体制に入ります!!」
いきなり熱源から戦闘を仕掛けられる。
「モビルスーツ隊発進させろ!!」
「はい!!」
「敵モビルスーツ出撃開始!数20?30?増えていきます・・・・。」
声に絶望の色がにじむ。
「キラ!とりあえず発進しろ!ヒルデは俺が探す!!」
「わかった!!」
「すぐ戻る!!」
そして簡単な指示を出し、イザークはヒルデを探す。
「くそっ!!」
艦内を探し回っていると、モビルスーツデッキに上がろうとするヒルデが見えた。
「ヒルデ!!」
閉まりかけるエレベータの隙間に滑り込む。
そしてその勢いもまま、彼女を抱きしめた。
「隊長・・・・。」
「行かせられない。お前の腕は正直知らない。もしかしたら俺よりもいい技術を持っているかもしれない。だがそんなことは関係ない。お前をここで行かしてはいけない気がする。