第4章 運命に操られて
「それは無理よ・・。」
悲しそうに彼女は俯く。
「あなたには未来がある。私が死んでもきっと何も変わらない。だから大丈夫。彼の元にいかせて・・・・」
こんなにも胸が苦しくなる笑みを見たことがない。
死ぬことが救いなのだ。
しかし、彼女をもう放っておけない。
彼女をそばで支えてあげたい。
彼女の頬を両手で包む。
「暖かい・・・。」
彼女が手を重ねる。
そして、優しく触れるようなキスをする。
小さい。
こんな小さな体で今まで戦って来たのだろうか。
「結婚しよう・・・。必ず幸せにするから。」
彼女は寂しそうな笑顔を見せた。
「あの子、大丈夫なの?」
「ああ、落ち着いた。俺の部屋に移動させた。」
「婚約者??」
「そうだ。」
珍しい、キラが話しかけてくるとは。
「そっちはどうなんだ。捕虜から何か聞き出せたか?」
「うん、まだ何も。でも結構末端だったみたいで、あんまり情報を持ってないっぽい。雇われかも。」
「そうか。」
確かに、動きは稚拙だった。
数を減らすためにわざと送ったのかもしれない。
それ以下でもそれ以上でもない使い方。
「あの子も、あのコロニーに関係ある子じゃないのかな?感じるんだ。あの、ラウ・ル・クルーゼって人いたでしょ。彼とおんなじものを感じるんだ。」
「クルーゼ隊長?と同じ?」
「勘が鋭いとことか。動きかな・・・?さっきのコロニーで一度銃撃戦になったんだけど、その時の動きを思い出したんだ。」
「だから?」
「うん・・。また僕恨まれてるのかなって。」
「知るかそんなこと。憶測だけで話すな。」
「うん・・。うん!そうだよね!」
わざと明るい声を出す。
皆生まれで苦労しているのだ。
自分は恵まれていたのだと今更ながら気づく。
「13人、亡くなった人数・・・・。」
「そうか・・・。」
「30人近く彼女が倒してくれたんだ・・。」
「そうか・・・。責任は全て俺にある。」
「ううん。僕の方が地位が高いんだ。」
「馬鹿か、コネもなんもないだろう。まだまだお前に不満を持ってるやつはザフトにいるんだぞ。これを理由に群もやめさせられてラクス嬢のそばにいることもできなくなるぞ。」
「それは嫌だな。」
キラらしく明るく笑う姿を見て、イザークは安心する。