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歩み出せるなら

第4章 運命に操られて


目がさめると、たくさんの管に繋がれていた。
一気に目がさめる。
また実験にされたのかと、繋がれたものを全て無理やり抜き取る。

「おい!!何しているんだね!!」

これが新しいドクターか。
近くの機械を蹴飛ばし彼を転ばせる。

「やめろヒルデ!!」

イザークがヒルデを羽交い締めにする。

「いや!離して!もう・・、もう許して・・・。助けて・・・。ラウ・・。」

ラウ??
聞き覚えのある名前だ。
だが彼を名前で呼ぶほど親しい人物がいたことを知らない。

「ただの医務室だ!」

暴れる彼女を必死で抑える。
何かよくない記憶があるのだろうか。
彼女の手を握ると、ハッとしたようにこちらを見る。
彼女の顔はみるみる歪むと、子供のように泣き出す。

「俺はどこにもいかないから・・・。」

彼女は小さくうなずいていた。


「何か食べれるか?」

医務室のベットの上でイザークに抱きしめられながら泣き止んだヒルデに話しかける。
彼女は小さく首を振った。

「すこし何か食べないと、体が持たない。」

後片付けはディアッカに任せ、ずっとヒルデのそばにいた。
彼女が少し眠った間、医師から様々な話を聞いた。

「聞いてもいいか?」

彼女の頬を優しく撫でる。

彼女がが俺の服をぎゅっと握る。

「ずっと、一緒に居たかっただけ・・。でもそれすらも私たちは許されないの・・・・。」

感情がこもってない。
まるで他人事のように語る。

「私は研究所で生まれた。父親が研究員を無理やり妊娠させて生まれた。子供を仕入れるのは難しいから、降ろされなかった。父はナチュラルで、コーディネーターに憧れていた。だから後天的にコーディネーターのように優れた遺伝子を持つことができないかを研究させてた。」

「もういい・・・。すまなかった。」

「母親は、研究員として、貴重な実験隊である私と、無理やり生まされた子供という二つの思いがぶつかり、自殺した。」

「もういい!!」

いいから、とイザークが小さく呟く。

感情のない表情をしているのに、涙はずっと溢れている。
こうやって威圧も我慢していたのだろう。

「誰もいないというなら、俺がそばにいてやる。俺が生きる理由になってやる。」

彼女はゆっくりとこちらを見た。
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