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歩み出せるなら

第4章 運命に操られて


「ヒルデ!!!」

毛布を持ったイザークに抱きしめられる。

「早く治療を!!」

ふと、自分がかなり瀕死だと自覚した。
それはそうだ、撃たれて、そのまま行動していたのだから。

大人しくイザークにもたれかかる。

「よくやった・・・。」

まるで本当の婚約者みたい。
少しだけ、甘えたい気持ちになってほおをすり寄せる。
懐かしい記憶。

「イザーク!!!!」

片目を潰されたリーダー格と思われる男が発砲する。
この位置ならば、彼に当たらないだろうと、慌てず彼の胸に体を預けていた。



何が起きたのだろう。
どうして仰向けになって、彼が私の上に倒れているのだろう。
遠くで銃声が聞こえる。
あの男が打たれたみたいだ。

「いイザーク・・・・?」

「大丈夫だ」

「あ、あああ、ああああああああ」

フラッシュバックする。
ラウの最後。

「いや、いや・・!!行かないで・・・。」

大粒の涙が溢れだす。

「いかないで・・・・。ひとりにしないで・・・。」

「大丈夫だ。彼のように死んだりしない。死なないから!」

イザークがきつく抱きしめる。
パニックになったヒルデはそこで意識を手放した。


「隊長!!お怪我は!!」

「大丈夫だ。何、コーディネーターだ治りは早い。」

「隊長、ヒルデは・・・?」

「シホ・・・。わからない。」

「わからないって!!」

「意識がない。バイタルも不安定らしい。血もかなり失っているみたいだ。」

「そんな・・・・・。」

シホが涙ぐむ。

「シン?」

あまり関わりのなかったはずの彼が心配そうに見つめる。

「既視感あるなって、思って。ステラ・・・。一回捕虜視したエクステンレッドの少女なんですけど。彼女を思い出したんです。なんか、彼女もひどい扱いを過去に受けてたとか、怖い思いをしたとかあるんじゃないかって思って。」

驚いた。
ここまでシンは本能的何かを感じたのかもしれない。

「あと、体術はわざと逃げてるみたいでしたし、射撃も中心から外す距離いつも同じでした。モビルスーツも、誰もが酔うような操縦してましたけど、彼女だけよっていませんでした。」

「意外と見ているんだな。」

「最初から不思議な人だったんで。」

俺は彼女をちゃんと見ていただろうか。
今更ながら何も知ろうとしなかったことを後悔する。

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