第4章 運命に操られて
『ヒルデ、これが最後だ。私は君に何もしてあげることができない。・・・愛してると、伝えることしかできない。』
『ラウ・・・。なら連れて行って・・・・。最後まで私といて』
あの日の夢を何度見たことか。
『それはできない。ヒルデ・・・。もし私が生きて帰ったら、君が私を殺してくれ』
『いやよ、いや・・・。』
必死にすがりつく私を優しく撫でる。
この温もりが消える?
もう二度と抱きしめられることがないと?
『君を愛すること、それが最後にしてあげられることだ。』
お互いに口づけを交わす。
離れたくなくて、パイロットスーツをぎゅっと握る。
『愛している・・・・。普通の人生を歩むんだ。君は優しい人間だ。だれかと愛を育み、家庭を築くこともできる。私が愛した女性だ。自信をもて』
いつまでも離れない私を無理やり引き剥がし、シェルターへ閉じ込めた。
この辺りは意識が朦朧として思い出せない。
彼の名前だろうか、ずっと叫んでいた。
苦しくて思せない。
夜中に目がさめる。
どうやら寝てしまったようだ。
目が覚めたのは変な時間に寝たからではない。
敵・・・・。
侵入されている。
外の様子を確認するため、白いネグリジェのまま部屋を出る。
「おい、こんな夜中にどうしたんだ?眠れ・・・」
サイレンサー。
かなり音が小さい。
意外と防音がしっかりしている艦内には響き渡りそうにない。
「進路確保、行くぞ。」
どうやら手引きしてたものもいるらしい。
彼らが走り去った後に、エマージェンシーボタンを押す。
艦内の灯りが一斉につき、サイレンがなる。
これで皆起きるだろう。
「なんだ!!」
「ぐっ!!」
サイレンで起きた兵が急いで部屋を飛び出す。
まさか艦内だと思わなかったのだろう。
敵の前に丸腰で出てしまったため、あっけなく撃たれる。
だんだんと状況が伝わり始める。
「艦内に敵潜入!!艦内にて」
銃声が響く。
敵が潜入したということは、何かしら船を使ったということだ。
軍艦が見つけれないはずはない。
つまり誰かがわざと報告しなかったのだ。
ブリッジにも敵がいる。
アナウンスのせいでかなり混乱しているようだ。
何もできずに撃たれ死ぬものも出ているみたいだ。