• テキストサイズ

歩み出せるなら

第2章 ジュール隊へ


イザークからとは何も会話していない。
一兵卒に話しかける機会などほとんどないから仕方ない。
彼はこの自体をよく思っていないだろう。
それよりも。
キラ・ヤマトがこの船にいるのが堪え難い。
彼を憎むのは違うとわかってても心が追いつかない。
そして、白服を着ているのがどうしても許せない。

「えへ、怒られちゃった。」

午後からは特に何もなく無重力に浮いていたヒルデにキラが話しかけた。
急いで敬礼する。

「あ、いいよそんなかしこまらなくて!」

キラが手をブンブンと振る。

「何か、ありましたか?」

どうして自分に声をかけたのかつい疑問に思う。

「ううん、何もないよ。さっき君寂しそうだったから。大丈夫かなって。」

「お気遣い感謝します。」

あまり突き放した印象を与えてしまうと何かと動きにくいと、柔らかい笑みを作る。

「ダメだよ、そんなふうに無理して笑ったら。」

キラが悲しそうに眉をひそめる。
悲しそう?

「そうやって心と違うことをしていると、どんどん苦しくなるよ。」

なら私の前から消えてください、そう喉元からでかかった。

「ちょっと心配だったんだ。」

「大丈夫です、性格なので・・。」

「そっか、本人に言われたらそれ以上言えないな。ごめんね、イザークに呼ばれてるんだ。じゃあね。」

そう言いうと手を振ってキラは去っていった。

彼に殺されたのだ、クルーゼも、レイも・・・。

「ラウ・・・・・・。」

どうして、あなたを殺した人と一緒にいるのだろう。

「最近どうしたのかしら・・・・。」

心が不安定だ。


「失礼いたします。」

「ああ、」

今は赤服のパイロットから順にイザークと面談をしている。

「ヒルデ・・・・。」

「はい・・・。」

「赤服の実力はあるのか?」

彼女は俯く。

「君の父親がやったのだろう。そして、なぜか専用機まできた。新型だ。何を考えている?」

彼に嘘をつくのは得策ではい。

「申し訳ございません・・・。父が、婚約したことで舞い上がってしまったようで。このような立場にふさわしくないのは重々承知しております。」

「ヒルデが悪いわけではないことはわかる、だがこれは大問題だ。誰が許可を出した?」

「わかりません・・・。」

はーっと大きなため息をつく。

「わかった。できるだけ訓練をするんだ。俺も暇があれば手伝う。」
/ 37ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp