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【松野千冬】場地さんの双子の姉とお付き合いしています

第3章 場地さんの双子の姉がモテて困ります


「圭介!」
「……ア? おー咲桜、終わったのか」

 ふわあ。と大きな欠伸をしながら上半身を起こした場地さんは、俺と咲桜へ交互に視線を動かしてから繋がれた手を見やって「よかったな、千冬ぅ」と口の端を上げながら笑ってくれた。その言葉に「ウス!」と元気に返事をした俺に、咲桜はよくわからないといった表情を浮かべている。っていうか、わかんなくていいから。

「三年の人殴っちゃった。もし因縁つけられたらごめんね?」
「は? また殴ったのかよ。オマエ、相手振るとき殴らないと振れ──」
「ちょ、圭介ッ!」

 慌てたように場地さんの口元を塞ぐ咲桜は「言っていいこととダメなことあるでしょ! しーだよ、しー!」と捲し立てているが、一番言ってはダメなことをいっているのが咲桜な気がしてならないのは俺だけ? どんだけ殴ってんだよ。

「私、今から千冬とサボってお昼食べるから!」
「は? ズリィ! 俺もサボりてぇ」
「あんた授業出ないとまた留年するわよ」
「ぐっ……」
「お母さん泣くよ」
「わーったよ! 出りゃいいンだろ!」
「物分かりのいい子は好きよー」

 おーよしよし。と場地さんの頭を撫でる咲桜を見て、怖いもの知らずだなぁと他人事のように思う。そして不貞腐れつつも、それを甘んじて受け入れている場地さんはカッケー。お姉さん大事にしてるの、ほんと尊敬ッス。

「今日の晩ごはん、肉じゃがにしようかと思ってたけどカレーにするね」
「マジ!? さすが咲桜!」
「肉じゃがも美味しいんだけどね」
「俺が煮物苦手なの知ってンだろ」
「好き嫌いしてると大きくなれないわよ」
「まあまあデカいだろ、俺」
「まだイケるって」
「咲桜は全部胸に持ってかれてるよな、エイヨウ」

 場地さんの言葉に思わず、んごふっとむせる。な、なんてこと言うんスか場地さん……! 言いたいことはめちゃくちゃわかりますけど!
 わかりますけどっ!
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