• テキストサイズ

【松野千冬】場地さんの双子の姉とお付き合いしています

第2章 場地さんの双子の姉と初めて出会いました


 ──胸。
 その単語を聞いて全身の血が顔に集まってきたんじゃないかと思うくらい、顔が火照りだす。そんな俺を見た場地さんはおかしそうにケラケラ笑っているが、俺にとっては笑い事じゃない。そんなこと言われたら、次会ったときにまた胸に目がいっちゃいますって……!
 頭を抱える俺の耳元に唇を寄せた場地さんは囁くような声で──。

「咲桜のブラのサイズ教えてやろうか」

 と言葉を紡いだ。悪魔かこの人は。
 ブンブンと頭を横に降る俺が見えてないのか「あそこに下着全部入ってンだよ」と聞きたいような聞きたくないような情報を俺に教えてくれる。
 なんとか話題を変えたくて、苦し紛れに「場地さんいつも頭撫でられるんスか?」と訊けば肯定も否定もされなかったが「アイツもけっこーバカだろ?」とだけ返ってきた。そのときの場地さんの表情はバカにしたようなものなんかじゃなくて、いつもより少し優しさが溢れていたような気がする。

「アイツ、風呂上がりもパンツ一丁だし」

 本当に気がしただけのようだ。

「……」
「ア? 想像したのか?」
「してないですッ!」
「ふはっ! 食い気味じゃん」
「ソンナコトナイデス」
「咲桜と千冬がくっついたら、千冬が俺の弟になんのかー」
「いや、その場合は俺が場地さんの義理の兄になります」
「は!? マジ!?」

 千冬が俺の兄貴ぃ!? と驚いてる場地さんの声はきっと咲桜さんにも聞こえていることだろう。この会話をなんて思われているのか少し心配になったが、気にしても仕方がないと頭の隅へと追いやった。そもそも俺が咲桜さんと付き合うなんてことは天と地ほどもないだろうし、結婚だとかそもそもおこがましい気さえする。

「圭介ー! 今、揚げ物してて手が離せないからポテサラのじゃがいも潰してー!」
「はあ? なンで俺が」
「けーちゃーん。潰すの得意でしょ、潰すの」
「咲桜が言うと急に物騒に聞こえるワ。……ったく、しょーがねぇな。千冬も来るか?」
「はい!」
/ 29ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp