【松野千冬】場地さんの双子の姉とお付き合いしています
第2章 場地さんの双子の姉と初めて出会いました
ポッケから携帯を取り出してカチカチとメールの文章を作成する。二人と一緒に夕飯……俺なんかが一緒に食ってもいいのかという迷い半分、誘われたことがめちゃくちゃ嬉しい気持ちが半分。
ほどなくして親から返ってきたメールを見てドクリと心臓が跳ねる、オッケーをもらえた。やべ……緊張でどうにかなりそ。「大丈夫でした、お願いします」と声をかければ二人は嬉しそうに「よかった」と華のような笑顔で笑いかけてくれる。
「大したものはできないけど頑張って作るね!」
「唐揚げ食いてェ」
「むね肉でもいいなら鶏肉あったよ」
「それならチキンカツが食いてェ」
「ん。千冬もチキンカツでいいかな? アレルギーとかある?」
「大丈夫です! あざす!」
「圭介にはない素直さだわ。千冬かわいいねぇ」
畳から起き上がったかと思うと抱え込むようにして咲桜さんに頭を抱きすくめられた俺は「う"っ」と短い悲鳴をあげながら目を見開く。そして──頬に当たる柔らかな感触に、声だけでなく心臓も悲鳴をあげていた。
ちょ、待っ、は? はあ? やらけぇ……じゃなくて! これ押し返してもいいのか!? いや、場地さんの姉にそんなことはできない! と自問自答しながら、蛇に睨まれたカエルのように動けないでいると、俺に抱きついていた咲桜さんは場地さんによって勢いよくひっぺがされていった。……た、助かった……。
「千冬がビックリしてんだろぉ」
「あ、ごめーん。ついいつもの癖で圭介にするみたいにやっちゃった」
「あ、いえ……ダイジョブです……」
「お詫びにたくさんチキンカツ作るね」
じゃ! っと片手を上げて台所の方へ向かった咲桜さんを見送ってから「はあああ」と大きな息を吐いた。あの人マジでなんなんだよ……と項垂れている俺の横で、場地さんはニマニマと何か言いたそうな顔で頬杖をつきながら俺を見ていた。その姿がさっきの咲桜さんと重なり、またうっと息がつまったような感覚に陥れられる。
「ダイジョーブか千冬ぅ」
「……うす」
「アイツ、意外とあんだろ」
「? 何がスか?」
「胸」