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【松野千冬】場地さんの双子の姉とお付き合いしています

第2章 場地さんの双子の姉と初めて出会いました


 先に部屋へ入った場地さんの後を追うように、俺も部屋へと続く。そわそわとぎこちない俺に場地さんは不思議そうな顔をして「どうした?」と声をかけてくれる。いや、だって、どういう状況だよこれ。

「あの……場地さん、この人は……」
「ん? あー。こいつな、俺の双子の姉」
「場地咲桜だよ。宜しくね、ニワトリくん」
「んで、こっちはニワトリくんじゃなくて千冬な」
「あ! ま、松野千冬です!」
「おっ、君が噂の千冬かぁ。最近、圭介から話聞かされたわ。漢字教えてあげてくれたんでしょ? ありがとね」

 俺に興味を示してくれたのか、むくりと起き上がった彼女は「こいつバカだからさ」と言ってにひひと笑う姿は双子だけあって場地さんとよく似ている。俺の隣でペヤングを食べながら「ブッ飛ばすぞ!」とガンを飛ばす場地さんをものともせず咲桜さんは「んなことしたらもう勉強みてあげないから」と、一言。
 それはさすがに困るのか、うっと言葉を詰まらせた場地さんは面白くなさそうに口をへの字に曲げている。
 とりあえずこの数分で俺の脳にインプットされたことはただひとつ。──この人は強ぇ。

「ん、千冬」
「あざっす!」

 もごもごと口を動かしながらペヤングを渡してくれた場地さんにお礼を言って、箸でペヤングを掴んで口へ……と思ったが、浴びるような視線を感じて前を向けば俺をじっと見つめている咲桜さんと目が合う。

「な、なんスか……」
「私もペヤング食べたい」
「え? あ、どう──」

 どうぞ。と俺が言い終わるよりも早く、咲桜さんは俺の手を掴み、大きな口でペヤングを食べた。え? 食べた?
 意図せず半強制的にあーんさせられた形になったことに気づいた俺は、徐々に頬が熱くなっていくの感じてとっさに口元を手で隠した。顔ちっっっか! しかもなんかイイ匂いしたし!  は? ……やべぇ。

「ペヤングうまー」
「うまーじゃねぇよ。自分で作れ」
「一口だけ欲しかったんだもん」
「もん、とか言っても可愛くねーワ」
「千冬、ありがとー。あとはもう圭介と半分コしてね」
「あ、はい!」
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