第3章 奇術師✖️ト✖️殺し屋
バタン…ッ
イルミが部屋の外へ出て、気配が遠くなるのを感じたあと
はぁっと息をつく
「…ほんとにデートしたいのはお兄ちゃんだよ。」
拗ねたように、
そして、誰にも聴こえないように呟いた。
それからいつもより念入りにメイクをして、髪も念入りに巻き、最後に香水を…と思ったが、イルミがプレゼントしてくれた香水しかなかった。
自分で買ったものはあまりお気に入りではない
「せっかくだしつけちゃおっかな。今日新しいの買っちゃお!」
ワンプッシュ手首へふりかけ、部屋を出た。
試しの門の手前までくると、兄へ電話をかけた。
プルル…ッ
「あ!お兄ちゃん?ヒソカもうきてる?」
「うん、楽しそうに待ってるよ。なにしてるの?」
「あの、ヒソカ…ちょっと遠くへいっててもらいたいんだけど…門がみえないとこ。」
小声で言うと
「え、なんで?まぁいいけど…ヒソカー、あっちいっててだって。」
疑問に思っていそうな兄が、ヒソカへ伝言する声が電話越しで聞こえた。
「ありがと…!」
(だ、だって、せっかくおしゃれしたのに頑張って門開けてる姿なんてみられたくないもんっ…!ほんとはお兄ちゃんにもみられたくないのにぃ〜!)
ネルルは大きく深呼吸すると、両手を門につけた
そのまま無心で力を入れると、門は低い軋みをあげ開かれる。
「三まであけれるようになったんだね。」
乙女心を知らない兄は、いつのまに開けれるようになったの、と言うふうにこちらを見ていた。
「はぁ…っはぁ…、しんどっ……」
前髪を直しながらつぶやくと
「…❤︎」
髪を下ろしている深い黒紫のジャケットを着た男が寄ってきた
ん?あれってヒソカ??
兄に目配せすると、こくんと頷いた。
「こんにちは❤︎」
「こっ、こんにちは。」
その声にヒソカだとようやく気づいたネルルはスッと姿勢を正した。
「いいかい2人とも。伝えている通り、今から2時間。ククルーマウンテン周辺の繁華街だけだ。」
イルミが条件を再度確認すると
「わかってるよ…♦︎ 守らないと次のデートの約束もできなさそうだし❤︎」
ヒソカが楽しそうにこちらを見てきた。