第2章 ワタシ×ト×奇術師
「うん、金も振り込まれて仕事になっちゃったし。日時はおれが指示するから。」
ソファから立ち上がり、横を通る際でそう言うと部屋を出ていった。
「お金ってこっわ……」
金が振り込まれたということは、ヒソカとのデート決行日までそう先ではないはずだ。
おそらく1週間以内だろう。
それまでに女として色々準備をしておきたい。
決してヒソカのためではない…。
ゾルディック家の長女である以上、気軽に自分の意思で、男と二人で出かけるなど許されないことだ。
この夢見ていたデートというものを思い切り楽しみたかった。
何度もいうが、ヒソカのためではない。
デートのその先にある「約束」のためでもある。
『やっぱり教えるのやーめた❤︎』
なんて言われたらお終い。あのヒソカの事だ、可能性も0ではなさそうだ。
綺麗に可愛らしくしておくことに越したことはないだろう…。
「ワンピース着ていこう。パンプスもあったな。
髪は巻き下ろしで、リップはあれ使ってみよっと…」
殺し屋一家の長女として生まれたが、こういう女の子な感性は他の一般家庭の女子と何ら変わらない。
今朝のバックの中身を整理していると、紙切れが入っていた。
「ゴミ入ってる…ん??」
取り出すと文字が書いてあった。
【デート、楽しみにしているよ❤︎】
(ヒソカの字…?)
一体いつ入れたのだろう、この内容、そしてこれをバックにいれるタイミングといえば、おそらくイルミがラウンジへ来たときだろうか
(デートする気満々だったのね。)
苦笑いしながら小物入れへメモをしまった。