第2章 ワタシ×ト×奇術師
「明日の13時に試しの門で待ち合わせだって。」
次の日の昼食後、クローゼットを漁っていると兄が部屋へ入ってきた。
「え、あした?あしたって、あした?」
「何回言うの。うんあした。」
「はやくない!?何にも準備できてないのに…」
1週間以内だとは思っていたがまさかこんなすぐだとは考えていなかった。
「準備?なにもいらないでしょ、なにするつもりなの」
目を丸くして不思議そうにしている兄。
「だ、だってデートだから…ちょっとはお洒落したいもん」
口を軽くむっと尖らせた。
「ふーん、女ってそんな事考えるんだ。」
「お兄ちゃんにはわかりませんよーっだ。」
ふんっと首を反対へむけた。
「まぁなんでもいいけど。あしたは試しの門まで
送るから。」
「ありがと。」
部屋を出る兄の背中を見つめたあとは
再びワンピースを探した。