第2章 ワタシ×ト×奇術師
「ん〜?やたらイルミのこと褒めるんだ❤︎ くすくす…」
「…!!」
「かっこいいって、2回も言ってたよ❤︎」
「あっ…//わ、忘れて欲しい…」
しまった、いけないことを言ってしまった気がした。
「くす…❤︎イルミには内緒にしててあげる♦︎かっこいいなんて思ってるんだ❤︎」
「お、お兄ちゃんとして…っ。」顔が熱くなる。
「うんうん❤︎お兄ちゃんとして…ね❤︎」
落ち着いた空間ではあるが、先ほどより賑やかになるラウンジ。
少し離れた席で、若いカップルらしき男女が会話しているのが聞こえてくる。
「ひ、ヒソカは、誰かと付き合ったり、好きになったことある…?」
何を聞いてるんだろう私…この感じでこの質問は恥ずかしかった…。
「君も質問してくれるんだね…♣︎。
………残念だけど、ボクは過去に興味がないんでねぇ♦︎昔のことはすぐ忘れちゃうんだ♠︎」
「!……そうなんだ…。」
驚いたようにパッとこちらを見つめる薄紫の瞳。
「どうして❤︎?好きな人でもいるのかい?」
こちらを見る丸い瞳と目を合わせる。
(彼とは随分と似ていないんだなぁ♦︎)
「い、いないけど…。私、付き合ったり、デートとかしたことないから。どんな感じなのかなって。」
キルアが執事に「友達になって!」と言い出したことを、いつの日だったか、母親から聞いた。
弟が「友達」というものに興味を持ち出した頃、
ネルル自身もまた“恋愛”というものに強く興味を抱いていたのだ。
思い返せばそれは
ケガをした自分を手当てしてくれた実の兄に
胸が熱くなった、あの日からだった。