第2章 ワタシ×ト×奇術師
キルアの方が、暗殺一家に住むものとして自分より相応しい。
自分も、父や祖父と同じ髪色で産まれてきたのに。
兄に訓練をつけてもらっても、やはり弟のほうがなんでも上手くこなせる。だからみんなに褒められる事も、弟の方が断然多いのだ。
段々とそう確信をしたのは10歳の頃だった。
(あの頃は悔しくて泣いてたっけ…。その時くらいからかなぁ、お兄ちゃんに泣きついて一緒にねてもらったのって。なつかし。
あ、チョコロボくんどこに売ってんだろ…キルめ…せっかくお兄ちゃんと2人なのにこんなときにまで…)
「君、ネルルちゃんかい?」
物思いに耽っていると、後ろから声をかけられた。
「っ?」ハッとして振り向くと知った顔がこちらを見ている。
「ヒソカ…⁉︎」
以前兄に紹介…というか、駄々をこねてついて行くとそこにいた、あのピエロのようなヒソカだった。
「やぁ♣︎おはよう❤︎」
片手をあげ挨拶された。
「お、お兄ちゃんに用事があるんじゃなかったんですか…っ⁉︎」
顔を引き攣らせながらいえば、ヒソカは
「そうなんだけどねぇ♠︎」
と、カウンターの長椅子の、ネルルの隣に腰掛けた。
(ひぃっ…隣に座られた!!)
自然とヒソカから距離を置くように、反対側へずり寄る。
お、お兄ちゃん、ヒソカに会うって言ってたよね⁉︎どーゆー事⁉︎
「おや…ずいぶん嫌われてるね、ボク❤︎」
「き、嫌ってないですよっ…!ところで!あ、あの…お兄ちゃんとの用事は…っ」
目も合わせずいえば
「うん❤︎さっき、君と彼がホテルの前で別れるところをみかけてね♠︎ 依頼として君に会うにはずいぶん時間がかかりそうだったから、ちょっとルール違反しちゃった♦︎」
と、ヒソカが自身のスマートフォンの画面を見せてきた
[お腹が減ったからホテルで何か食べてから向かうよ♣︎]
「え!こ、これどういうことですか…!」
目眩がしてきた。
今1番、1人で会いたくない男に会ってしまった。