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ジェラシーのその後で

第1章 カゾク×ト×ワタシ


街に出て朝食を食べるため、イルミはスマートフォンに映し出された地図を眺めながら店を探す。

「あった。ここでしょ?」
先に店へ入るイルミ。

少し後ろを歩いていたネルル待って、と慌てて着いていく。


「ここ結構広いね。」
窓際の席へ案内され、ウェイトレスに注文したあと、イルミは店の中を眺めていた。

「う、うん…。ここでよかった?」

「ネルルが食べたかったんでしょ。俺はなんでもいい。」

「そっか…」

飛行船の中で、
『華やかでいいんじゃない。』と兄に言われた言葉が、ネルルの頭の中で繰り返されていた。
映画に出てくる流行りの女優や、雑誌のモデルには『どれも同じに見える。』と全く興味を持たない兄が、確実にネルルの装いを意識して言った言葉。
グルグルと何度もその声がリフレインして、正直朝食どころではない。ドキドキして恥ずかしくなる。
それほど、兄が人に興味を抱くことは珍しかった。まぁ、弟のキルアの教育以外の話だが…。


バッグから小さなミラーを取り出し前髪を気にするフリをして、今更な照れ隠しをする。
そうしているうちに

「お待たせ致しました。」
先程の女性のウェイトレスが、サンドウィッチと珈琲、紅茶、ミルクを運んできた。
そのウェイトレスが、去り際まで色っぽい声と仕草で兄をチラチラと見ていた。
同じ女だから勘づく。
(お兄ちゃんのことカッコいいって思ってる…)

こんな朝っぱらから、しかも同席しているのは明らかに年下の女性だというのに。側からみれば、全く似ていない私たちはカップルにでも見えるだろう。人の男の気を引こうとするこの女は最低の最悪だ。絶対に幸せになれない!
当の本人は気付いているのかいないのか、まったく見向きもしていなかったのだが…。
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