第1章 爆豪くんがちょっと苦手。
爆豪くんのキレやすいとこ、本当に怖いな。って思う。
特に私の後ろの席の緑谷くんとは、物凄く仲が悪い。
今日、私がキレられたみたく、爆豪くんが緑谷くんに怒るのはしょっちゅうで、間の席に座る私は、一緒に怒られているみたいで本当に嫌。
爆豪くんのような乱暴な人とは、絶対に付き合いたくないな。……まぁ、轟くんも怒った時は怖いけど。
それはそれで、これはこれ。
私と爆豪くんが付き合う日が来るわけでもないんだし。
とにかく、出来るだけ爆豪くんを刺激しないようにと心に刻んで、私は遅れている分の板書を急いで取った。
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来て欲しくなかったお昼休みはあっという間に来て、どうにか書き終えたノートを閉じ、ちらりと後ろを振り返った時には、既に轟くんは居なくなっていた。
けれど私の真後ろの緑谷くんも、かなり離れたところに座る飯田くんも、まだ教室から出ていない。
それどころか、クラスのほとんどがまだ席に座ったまま。
それなのに轟くんはもう居なくなっていて、私はまた、ため息をついた。
「朔良ちゃん、お昼行こー!」
「……うん」
私を励ますように、明るい声をかけてくれた透ちゃんに続いて立ち上がり、皆でワイワイと食堂に向かう。
こういう時間も楽しいけど、轟くんも一緒だったら良かったな。
そう思っているうちに食堂に着いて、食べるものを決めてなかった事を思い出した。
「朔良ちゃんは何にするん?」
「まだ決めてない。お茶子ちゃんは?」
「うちは、今日は日替わりのBランチ! 白米が呼んでるんよ!」
「そっか。じゃあ私も……」
お茶子ちゃんと同じものを選ぼうとして、ふとその上が目に入った。
「やっぱ、私はこっちかな」
「朔良ちゃんはそう言うと思ったわ」
お茶子ちゃんが選んだメニューの上、Aランチのメニューは四川麻婆。
辛いものが結構好きな私には、食べない理由がない。
「お茶子ちゃんも挑戦してみたら?」
「ランチラッシュ先生の四川麻婆は辛すぎるんよ〜」
うちには無理や! と言いながらオーバーリアクションを取るお茶子ちゃんに手を振って、食券を購入し、Aランチの列に並ぶ。
一緒に来たクラスメイトとは、案の定バラバラだけれど、少し先には爆豪くんが居た。