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爆豪くんに寝取られた【R18】

第3章 爆豪くんと初デート(?)



こんな状況になってしまえば、もう店員さんを呼ぶのは無理だろう。

というか爆豪くんが持ってるの、爆豪くんが使ってたレンゲだし。

そうなる前に自分が食べていた坦々麺のレンゲで、料理を掬っておけば良かった。


「あの、爆豪くん」

「腕疲れんだろが」

「ええぇ…………」


それなら辞めちゃったらいいのに。

そう思いながら爆豪くんを見ても、爆豪くんは表情を変えない。私が諦めるしかないらしい。


だとしても、どうやって食べるのが正解かな。

レンゲを受け取るか、そのままぱくりと口にしちゃうか。


コンマ数秒迷った上で、私はレンゲに向かって手を伸ばす。

いわゆる「あーん」の仕草なんて、爆豪くんとやるわけにはいかないし。

そう思ったのに、私がレンゲを手にするより先に、爆豪くんの手が伸びる。


「ん"っ」


口内に、四川麻婆の辛さが広がる。

坦々麺とはまた違った旨みがあって、それはもう美味しいんだけど。


「うめぇだろ」

「……そうだけど」

「あ?」


私を軽く煽るように、口角を持ち上げて笑う爆豪くん。

私がこういう時に言い返せないタイプだと、多分彼は知っているのだろう。


「……爆豪くんも、これ食べる?」


ならば仕返ししてやろうと、私は自分で食べていた坦々麺のお皿を、爆豪くんの方に寄せる。

爆豪くんは一瞬、驚いたように目を見開いて、それからまた意地悪く笑った。


「ドーモ」


そしてなんの抵抗もなさそうに、私の食べていた坦々麺を口に運ぶ。

私は、困惑したのに。

本当に何気なく食べられてしまって、結局私が撃沈するだけだった。
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