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爆豪くんに寝取られた【R18】

第3章 爆豪くんと初デート(?)



それから電車に乗りこんでも、爆豪くんは手を離してくれなかった。


ただ腕を掴まれたんならまだ良かった。

しかし爆豪くんは、まるで恋人がするように、ちゃんと手を繋いできた。

爆豪くんがそんな感じで振舞っていりゃ、びっくりするほど注目の的になってしまうらしい。

多分、だけど、写真も撮られたんじゃないかと思う。


私は一応、轟くんの彼女なのにな。

爆豪くんが写真を撮られているのに気が付いて、嫌そうにしながらも私を庇うように立ち塞がる。

そんな動作を見てしまって、どうしても「手を離して」と言い出せない。

そんな自分が最低なのは確かだ。


「……おい」

「何?」

「次降りんぞ」

「……うん」


さして混んでもない電車の中で、爆豪くんは淡々と呟く。

爆豪くんからしたらきっと、大したことじゃないんだろうな。


羨ましいような、複雑なような。

せめて爆豪くんが意識してくれていたら、なんて。

それこそ最低だな。私。


「……おい」

「…………」

「おい、行くぞ観月」


余計に落ち込んでいるうちに、電車は目的地の最寄りに到着したらしい。

爆豪くんはやっぱり淡々とした口振りで、なぜだか私の苗字を呼んだ。


「えっ……あ、うん」


いつも、切島くんはクソ髪とか、上鳴くんはアホ面とか、そんなふうに呼ぶ爆豪くんが、私を苗字で呼んだ。

その意味がわからなくて、反射的に、爆豪くんの顔を覗き込んでしまう。

爆豪くんの表情なんて、私が読めるはずないと思っていたのに。

爆豪くんはしかめっ面で、けれどもほんのり顔を赤く染めていたのだった。
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