第2章 爆豪くんは距離が近い。
それでも放課後はやってくる。
彼氏の轟くんは今日もどこか知らない場所に向かっていくし、私は私で、苦手な爆豪くんと授業の打ち合わせ。
最近はずっと、付いてない。
また泣き出したくなるのをグッと堪えて、私は爆豪くんの部屋へと向かった。
「ご、ごめん! ちょっと待って!」
男子棟へ上がるエレベーターに乗り込んだ時、ギリギリの所で上鳴くんが乗り合わせてくる。
珍しく一人な上鳴くんは、エレベーターの中にいたのが私だったことに驚き、目を見開いていた。
「どーしたん観月」
「一時間目の英語あったでしょ。爆豪くんと打ち合わせ」
「あぁー! すぐ取り組むなんてしっかりしてんだな。……って、爆豪の部屋でやんの!?」
「え、そ、そうだけど……」
上鳴くんが更に驚いた所で、エレベーターは上鳴くんの部屋がある三階に到着する。
しかし上鳴くんは降りずに、そのまま話し続けた。
「アイツ最初はさ、俺らですら部屋に入れてくんなかったよ。最近はそうでもねぇけど、自分のテリトリー的なもんあるみたいでさ」
「あぁ……何となく分かるかも。でも、課題に集中したいから。って言ってた」
「なーる、それで観月の部屋でやるのも変な話だしな」
「そうかもね」
上鳴くんが納得した所で、エレベーターは四階に到着する。
そして上鳴くんに見送られ、私は爆豪くんの部屋を目指した。