第2章 爆豪くんは距離が近い。
いつの間にテンポよく進むようになっていた話し合い。
おかげで、原案が綺麗にまとまった状態で、授業終了五分前になっていた。
「そういえば、この課題いつ調べよっかか」
発表まで、授業はあと三回。
二週間といえど、授業時間内だけで作業を進めては終わらないのは明白だ。
だからこそのスケジュール調整。
インターン等と兼ね合わせて、早めに取り組む必要がある。
「今日は」
「え、空いてるよ」
「んじゃ今日でいいだろ、後は進捗を見て考えりゃいい」
「分かった、じゃあどこでやる?」
教室か、図書館か。
寮の共同フロアっていう手もありだけれど、爆豪くんがどうしたいかに任せていいかな。
「……俺の部屋。放課後なったらすぐに来い」
「えっ」
「人がいたら集中出来ねえんだよ」
「そ、そっか。……わかっ、た」
異性と部屋で二人きり。なんて爆豪くんは嫌じゃないのかな。
私は正直、嫌というよりも怖いという感じだけれど、爆豪くんの顔つきはいつも通りで、とりわけ嫌そうには見えない。
それもそうか。嫌だったら、「部屋で」なんて提案はしないもんね。
でも爆豪くんと二人じゃ、それはそれで集中出来る気がしないし。
ようやくコミュニケーションが取れてきたとはいえ、やっぱり苦手意識はどこかに残ったまま。
しかし、「分かった」と返事をしてしまった以上、今更やっぱり、なんて言えなくて。
今から放課後が、嫌で嫌で仕方がないまま、下唇をぎゅっと噛んだ。