第2章 爆豪くんは距離が近い。
じゃんけんで順番が決まり、廊下側、後ろの席からくじを引くことになった。
だから私より先に、轟くんの番がやってくる。
くじをひいたら、黒板にあらかじめ書かれた番号の下に、名前を記入していくスタイル。
何のくじ引きか分からないが故に騒ぐ皆とは違い、轟くんは淡々とくじを引く。
そして中身を確認したあと、チョークを持ち、3番に名前を書いていた。
轟くんのペアが決まりませんように。
そう願ったのが良かったのか、私の番がやってくるまで、轟くんのペアが決まることは無かった。
だからこそ、余計な緊張感が生まれてしまう。
「次、観月」
轟くんと一緒がいいな。
授業時間外で一緒にいられないなら、せめて、こういう場だけでもいいから____
「あ…………5番、だ」
震える手で引いたくじの番号を見て、はぁ。とため息をつく。
それから黒板を確認すると、5番を引いた人は居なかった。
まだくじを引いていない人は、爆豪くんと透ちゃんの二人。
どちらかが私のペアで、どちらかが轟くんのペアになる。
ならせめて、透ちゃんと一緒がいいな。
そう願いながら、私の次にくじを引く爆豪くんの背中を目で追った。
ある意味、自分の番よりも緊張していたかもしれない。
爆豪くんも淡々とくじを引き、中身を見てチョークを手にする。
そして爆豪くんが名前を記入したのは、私の名前の下だった。