第2章 爆豪くんは距離が近い。
酷く腫れた目とぼんやりとした顔を、水で洗い流す以外のケアが出来ないほど心が落ち込んだまま、着替えて食事を済ませる。
轟くんと、朝ご飯食べたかったな。
そう思いながら食べる朝ご飯は、皆と一緒だからそれほど寂しくないけれど、どこか心に穴が空いたままだ。
その日の朝も、始業のチャイムがなる直前に、轟くんは教室に入ってくる。
それを見た飯田くんが「5分前には着席したまえ!」と轟くんに声をかけたが、轟くんは心ここに在らずで「わりぃ」と返しただけだった。
「む! 昨日の昼も轟くんは……」
「飯田、お前も席につけ」
「相澤先生! こ、これは、俺としたことが……委員長として皆を導こうとしたがあまり……」
「予鈴はあくまでも予鈴だ。本鈴に間に合えば構わん」
飯田くんが一人反省する中、相澤先生は淡々とそう主張する。
正直、飯田くんの考えも、相澤先生の主張も、どちらでも構わないと私は思ってしまう。
それよりも、今日もまた轟くんが、ギリギリに来た事が不思議で、不安で。
そんなにいつも、何をしているんだろう。
轟くんが、さっぱり分からない。
「今日は、授業の前にこのくじを引いてもらう」
未だ悔しがる飯田くんを置いて、相澤先生は話を進める。
そして、教卓の上に大きめの箱を乗せた。