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爆豪くんに寝取られた【R18】

第1章 爆豪くんがちょっと苦手。



轟くんは疲れているだろうし、洗い物も私が引き受けようと思ったけれど、ストレートに拒否された。

準備から片付けまでやらせるわけにはいかない。
と頑なに言われてしまったけれど、私は轟くんとの時間を作りたかっただけなのに。

面倒だと思われてしまう。
分かっていても拗ねてしまって、轟くんはたっぷりと間を取りため息をついた。


「……じゃあ、食器拭いてくれねぇか」

「! うん!」


轟くんが、シンクの横に掛けられたマイクロファイバーのタオルを手に取り渡してくる。

それを受け取って、横並びでキッチンに立っている時間は、何だか恋人らしくて好き。


「ねぇ」「なぁ」


偶然、口を開いたタイミングが同じなのも嬉しくて、浮かれ気分になりながら、轟くんに話を譲る。


「……悪ぃ」と轟くんは一言。そんなに気にしなくてもいいのに。と思いながら、「大丈夫だよ」と私が呟くと、それから轟くんは、重そうに口を開いた。


「明日からも昼は予定があって、放課後は訓練があるんだ」

「……え、そ、そう、なんだ」

「朝も早くなる」

「…………え」

「待たなくていい」

「なんっ……」


で、と言いかける前に、ガシャン。と大きな音がした。


「何何、大丈夫か!?」

「わー、お皿割れてるじゃん!」

「観月、怪我してねぇか?」


共同フロアのテレビを観ていたクラスメイトが駆け付けてくれ、私と轟くんの足元に散らばった、お皿をちょっとずつ片付けていく。

自分でやるべきだと分かっているのに、動く事も、お礼を言うことも出来なくて、ただ私は呆然とした。


私は別に、待つことなんて負担じゃないのに。
ただ轟くんと、一緒に居たいだけなのに。

轟くんにとっては、それすら負担だったのだろうか。
それなら、もっと早くに、言ってくれたら。


「ちょ、朔良、指切ってるじゃん! ……って、泣いてるし! 急でびっくりでもした?」


駆け付けてくれた響香ちゃんは、私の異変に気が付き、ゆっくりと腕を引いてソファーに座らせる。

違う。これくらいの怪我、泣くほど痛いわけじゃない。びっくりしたわけでもない。ヒーロー基礎学の時とかは、もっと大変だもん。


どうしようもなく痛いのは、轟くんに拒否をされた心の方だ。
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