第1章 君を手に入れるまで、あと少し ((千冬
「ふぅ…、」
涙もひと段落したんだろうが、泣いた目はさらに腫れてしまっていた。
「それ…、大丈夫かよ。」
「うん、だって、千冬がいるからね!」
「…は?」
ぽんぽんと頭を撫でれば、笑顔でとんでもねぇことを言い出してきた。
はなんとも思っていなくても、俺は違う。
そんなこと言われては、心臓が飛び出てしまいそうになるほどで。
顔に熱が集まってくるのが自分自身ですごくわかる。
そんな俺を他所に、一時間目が終了したチャイムの音を聞いてどこかに電話をかけ始めた。
「屋上、来てほしい。…一時間目?さぼったよ。とにかく来てね。」
用件だけ伝えると、ピっと機械の音がなる。
「今、圭介呼んだから。」
「…え?」
その言葉の後からばたばたと走る音がするまではほんの一瞬の出来事のようだった。
の呼び出しともあり、きっと走ってきたのだろう。
そりゃ、場地さん大好きだからな。のこと。
「なんで千冬がいんだよ。」
「一緒にサボったから。」
場地さんが屋上に姿を現してすぐに俺に眼飛ばしてくるが、お構い無しで返事をする
場地さんとは争いたくないんだけどな。
とか考えてると、が立ち上がり、場地さんの前へと歩き出す。