第1章 君を手に入れるまで、あと少し ((千冬
「千冬、おはようー」
「おー…おまっ」
「へへっ…。」
翌日、カバンを自分の席に置いた後、俺の机まで挨拶に来たの目は赤くはれていて、挨拶を返す前に驚いてしまった。
「あー…、さぼるか。」
「え?」
の腕を取り、保健室に行くとラッキーなことに先生は不在だった。
こっそり保冷剤を手に取り、保健室を後にする。
保健室は、いつ先生が戻ってきてもおかしくないため、二人でサボるには適していない。
ー立ち入り禁止ー
そう書いてある紙が貼られた扉は、以外にも簡単に開いてしまった。
「屋上の鍵壊れたってこの間先生たちが話してんの聴いたんだ。」
「そうなんだ。」
まさに、晴天。
雲一つなく、どこまでも青い空が広がっていた。
俺の後ろからその空を見上げると、ふっと笑う。
昨日から全くの笑顔を見ていなかったから、俺も自然と笑みがこぼれる。
「話くらいきくぞ。」
「うん。」
屋上の日陰になっている壁に寄りかかって座り、ぽんぽんと隣をたたく。
隣に座ったに保冷剤を渡すと、ありがと、と目を冷やしながらぽつり、ぽつり、と話し始めた。
「昨日ね、圭介からいっぱい電話来たの。」
「でも、出たくなくてほっといたら、メールが来るようになって」
「でもね、返したくなくて。ただ、見るだけ見てた。」
「ごめんとか、しかたなかったとか。言い訳ばっかり。」
「だから、多分だけど、圭介は私のこと幼馴染としてしか好きじゃないんだろうなって。」
「そう思ったら、気持ちが冷めて来て、馬鹿みたいだなーって。」
「うん。」
少しずつ、の声は涙声になってきている。
何を想っているのか、正直わからない。
でも、いろいろ考えて、考えたんだろうなって。