第1章 君を手に入れるまで、あと少し ((千冬
場地さんに「失礼します」と告げたあと、ペヤングを食べることなく家を後にして、またの家のインターホンを鳴らした。
の家も場地さん家と同じ5階にあるから、そこまでたどり着くのに一分とかからなかった。
「はーい。あ…千冬?…ぅえ!?」
控えめにドアを開けてこちらを覗き込み、相手が俺だとわかるとぐっとドアは開かれる。
その瞬間にの腕を引いて抱きしめた。
「ごめん。俺、我慢できなかった。本当は、場地さんの彼女だから守りたいって思ってたけど…。俺が一人の女としてを守りてぇ。」
「あ…えっ?」
の「うぇっ!?」という驚く声がフロアに響いたからか、場地さんの家の扉が慌てて開かれる。
そして、を抱きしめる俺を見て青筋を立てて近づいてきた。
「千冬ゥ…テメェ…」
「あっ…、け…すけっ」
ーバタンッ
場地さんがこっちに歩んでくる様子を見て、を離すと、の視界も場地さんを捉えて大きな音を立てて家の中に引っ込んでしまった。
「場地さん、これがの答えですよ。」
ペコッと一礼をして、自宅へと向かった。
場地さんはの拒否したような態度と俺の言葉に舌打ちをして、その場を離れられずにいた。