第3章 ねぇ、好きなタイプは((マイキー
金髪男から走って逃げると、特に追いかけてくる様子はなくて安心した。
ホッとして遊ぶ約束をしていたエマに電話をすると、近くにいたらしくてすぐに合流することができた。
「さっきナンパされて⋯ホント最悪⋯」
「苦手だもんねー。そういうの。」
さっきの愚痴をこぼしながらファミレスへと入り、それぞれランチを頼んで待っていると⋯ほんと最悪⋯
さっきとはまた違う、というか、金髪男よりもタチの悪そうな二人組の男が私とエマの隣に座った。
エマは堂々と、そして面倒くさそうに返事を返すが
私は顔を逸らしてできるだけ目を合わせないようにしていた。
「ファミレス出て遊びに行こうぜ♡」
「!?ちょっ!」
腰に回された手が離れたかと思うと、私の腕をつかんで席から立たせようとし始めた。
前を見ると、エマも同様に立たされそうになっていた。
ランチを食べていないことも忘れるくらい恐怖で、立たないように懸命に力を入れる。
「おい、いい加減に来いよ。」
「優しく誘ってやってんだろうが」
「や、だ⋯っ、」
「離して!」
なんで、店員さんも周りの人も助けてくれないのか不明だ。
いや、みんなも怖いから関わりたくないんだろう。
エマも私も必死に抵抗するが、怖くてだんだん力なんて抜けていく。
そうでなくても男の人の力には勝てるわけがないのに。
「震えてんの?かーわいー」
ダメだ、連れていかれる。
そう思ってぎゅっと目を瞑ると、下品な笑い声が響く中、さっきの金髪の人が思い浮かんだ。
あの人は、優しかったな。追いかけてこなかったし。ずっとニコニコしてたし。
あの人なら、この人たちから助けてくれたのかな。
…なんて、虫が良すぎるよね。
誰か助けて…っ、