第3章 ねぇ、好きなタイプは((マイキー
ーマイキーside
「行っちゃったー。ケンチン、ファミレス行こ。」
「解散したんじゃなかったのかー?」
「まぁいいじゃん。」
俺よりも少し小さくて可愛いなって思った女の子に声をかけてみただけだった。
多分、怖かったんだろうなー。
それなのに、はっきりと物を言う姿がかっこいいとも思った。
また会えたら声かけよーなんて呑気に思いながら、ケンチンとファミレスに入った。
「あ。」
「どうしたマイキー。」
「さっきの子みーっけ」
「⋯⋯声かけねぇの?」
ファミレスでお子様ランチを食べていると、少し離れた席にさっきの子が友達を連れて入ってきた。
行動に出ない俺にケンチンが問いかけてくる。
くいっと顎で二人が座る席を指すと、ケンチンも振り返る。
「あ?エマじゃん。」
女の子と一緒に向かい合って席に座るのは妹のエマだった。
なら、いつでもチャンスあるかなって思ったから、残りのお子様ランチを頬張る。
お子様ランチもあと少し。そんなところでエマ達に雑魚っぽい不良が絡んでいく姿が見えた。
「ねぇねぇ、お姉さんたち可愛いねー♡」
「いや⋯あの、困るんですけど。」
「ウチ、好きな人いるからパスー。」
「そう言わずにさー♡」
様子をうかがいながら最後の一口を飲み込む。
二人は震えた声をしている。
さっきの子、ナンパしない人がタイプって言ってたから苦手なんだろうなー。
気づいたケンチンもそっちを盗み見ている。できれば、関係のない問題は起こさないほうがいい。東卍に迷惑をかけることになる可能性もあるから。
女の子二人が大人しくしているからか、俺たちが見ていることも知らずに女の子とエマの隣にそれぞれ男が座って肩や腰に手を回していた。
ふつふつと怒りが底から湧き上がってきて、今すぐ殴り飛ばしたい気持ちをぐっと堪えた。
ーマイキーside end