第3章 ねぇ、好きなタイプは((マイキー
「ねぇ、彼女。暇?お茶いこーよ。」
「⋯⋯⋯は?」
今時こんなナンパする人いるんだ。
そんな印象。
金髪で前髪上げてて、背は小さめ。でも笑顔の似合う人だ。
顔が整っていてイケメンの部類に入るのだろうけど、
私は騙されたりしない。
「いや、でも隣にお連れの方いるみたいですし。」
「今解散したー」
いや、さっきまで「どこいく?」とか話してたの丸聞こえだからその嘘はとてもバレバレである。
金髪男の隣には、頭の両サイドを刈り上げ長い髪を編み込んでいて、左側には竜の墨が入れてある怖そうな男が私を見ている(睨んでいる…?)。
見ただけでその二人組が不良であることはわかるので、出来れば穏便にすませたいのだけど⋯。
「あー、いやー⋯」
「じゃあさ、どんな人がタイプ?」
気まずそうにそっぽを向く私に構わず、金髪の人は私の肩に腕回して問いかけてくる。
「それ、聞く意味ありますか、ねー⋯」
「⋯」
肩に回された手をそっと外して作り笑顔を浮かべるが、早く答えろと言わんばかりに睨まれ、意味がわからなくなる。
いや、私が睨まれる意味って何。
「はぁ…そうやってナンパしない人がタイプです…。」
あまりのしつこさと理不尽さについ、本音が出てしまった。
すぐに恐怖が押し寄せて、口を押さえるが、まぁ、遅いよね。
金髪男がこちらをじーっと見ていて、居ても立っても居られずに走り去った。