第6章 約束
「行きたいです!…兄上、いいでしょうか?」
そうは言うものの杏寿郎さんの反応が気になるそうで、恐る恐る確認された。
「うむ!月城が良いと言うなら!良かったな千寿郎!」
「はい!楽しみにしています!」
「私もです。早めに計画を立てましょうね。」
そういうと、千寿郎さんはまた小さなお日様のような笑顔になった。なんて癒やされる。
「さぁ、そろそろ話は終いにして、稽古を始めるぞ!」
杏寿郎さんの溌剌としたお声が私の身を引き締めた。
昨晩迷惑をかけてしまったので、頑張らないと。
「今日は何をするんですか?」
千寿郎さんが問う。
「今日は、体ではなく精神を鍛える!」
精神を鍛える?我慢なら得意ですが。
「寺に行くぞ!」
「お寺…ですか?」
「うむ!座禅だ!!」
杏寿郎さんに連れられて私と千寿郎さんも一緒に近くのお寺へと出向いた。私は座禅は初めてなので行く道すがら、どんなものか話を聞いた。座ってじっとしているだけでいいなんて、今日の稽古は楽ですね。
着いたお寺はとても大きくて立派なお堂がある。
「御免ください!」
杏寿郎さんの大きな声が響いた。お堂から和尚様がいそいそと出てこられた。顔見知りであるご様子。
「あぁ、杏寿郎くん、千寿郎くんも。また見ない間に大きくなったね。」
「ご無沙汰しています!千寿郎から聞いていました。時々父に会いに来てくださっていたと!」
「えぇ、えぇ。お父さんはお元気かな?」
「はい!父上は風邪をひかぬ人故!」
「そうですか。元気なら良かったです。」
和尚様は合うたびに大きくなったねと仰るのだと千寿郎さんが教えてくれた。煉獄家とは長く付き合いのある方なのですね。
「それで、今日はどうしたのかな?」
「はい!実は座禅をしたく!和尚さん、頼めるだろうか。」
「ええ、いいですよ、もちろん。千寿郎くんも一緒にかい?」
「はい!」
千寿郎さんは元気よく返事なさった。それから和尚様は私に目を向けた。
「それと和尚さん、彼女も一緒だ!」
「月城と申します。」
ああ、日本語が話せるのですねと和尚様は安堵なさっていた。
「月城は初めてなので…」
お手柔らかにどうぞと頭を下げたが。
「厳しく頼む!!」
杏寿郎さんに限ってそんな事はなかった…。