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桜月夜【鬼滅の刃】

第4章 元町観光


驚いて体がびくっと動いてしまった。

「ここの支那そばは絶品だな!もう一杯どうだ!?」

「えっ、もう一杯ですか?」

私はまだ半分も食べ終わっていないのですが、炎柱様は丼を持ち上げてスープを飲み、もう完食したところだった。
なんとお早い。

「私は結構ですので、どうぞたくさんお食べになってください。」

「そうか!女将さん!もう一杯もらおう!」

いい食べっぷりだと、厨房の奥からご主人の声がした。女将さんと楽しそうに笑っている。
炎柱様が美味しそうに食べてくださって良かった。

「月城。」

炎柱様はコソコソ話でもするかのように身を縮めて顔を寄せてきた。今度は周りに気を遣っているのか少し小声だった。

「なんですか?」

私も耳を寄せて同じくらいの声量で返す。

「うまいな!」

「…。」

「?うまいな!」

少々しつこいので黙っていましたら、二回言われましたね。

「美味しいですよね。お連れして良かったです。」

「これは千寿郎にも食べさせたい!いつか連れてこよう!その時は案内を頼む!」

「はい。お任せください。」

そこまで感激いただけるとも思わなかったのですが、炎柱様は目を輝かせて仰った。
千寿郎さんも食べればきっと笑顔になるでしょうね。
お二人がお日様のような笑顔になるところが浮かんだ。想像するだけでも幸せの絵図。

「はい、おかわりどうぞ!」

女将さんが二杯目の支那そばを持ってきた。
炎柱様は再び食べ始める。女将さんは今か今かと彼の反応を待っている。

「ん!うまいっ!!」

一層大きな声なので私の耳は片方キーンと音がした。
女将さんときたら手を叩いて笑っている。周りのお客様も笑っている。
まだ朝の早い時間なのに、笑顔で溢れている。
本当に皆のお日様のような人なのですね。

それから炎柱様は追加で三杯おかわりをされた。
その間私はひたすら食べ続ける姿を見守った。本当に気持ちのいい食べっぷりで、どんどんお口に吸い込まれるので面白いくらい。
こんなに食べてみたいものです。
帰り際、すっかり女将さんに気に入られた炎柱様はまた来ると仰っていた。女将さんは明日もおいでと言っていたが、さすがにこれには笑い飛ばす他なかったご様子。

「さて、稽古の続きだな!」

「食べたばかりでよろしいのですか?」

「俺は問題ないぞ!…足の具合はどうだ?」
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