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桜月夜【鬼滅の刃】

第4章 元町観光


私は連日の任務を終えて、夜が明ける前に家に戻った。
幸い今回は軽傷で済んだので、隠しの方に治療していただき、その足で帰ることができた。
少し寝よう。朝になったら、また鍛錬しなくては…。
顔を洗い、体を拭いて、久しぶりに自分の布団へ入る。


トントントン…


窓を叩く音がした。まだ布団に入ったばかりなのに。気づかぬフリをしていたら、ドンドンと強く叩く音に変わった。鳥が嘴でつつく音だ。
仕方なく目を開けると、窓の外には鴉の姿が。
ほとんど眠れていないので少し休ませてもらいたいところ…。
起きて窓を開けると鴉は中へ入ってきた。よく見ると炎柱様の鴉だった。


『カァー!本日早朝!稽古ヲ始メル!』


早朝!?もう間もなくなのですが、それに家からでは今すぐ出ないと間に合いませんが…!!
断りたい気持ちがややあったものの、千寿郎さんのお日様のような笑顔も同時に思い浮かび、それを引き止めた。


「わかりました、すぐ準備いたします!」

『カァー!カァー!稽古ハ近辺デ行ウ。場所ヲ指定スルガイイ!』

「え?ここまで来てくださるのですか?」

それはとても有り難いが、家にはおもてなしできるような物が何もない。
そもそもこんな狭く何もない部屋には入れることが失礼な気がする。稽古をつけに来られるだけなので、そんなことにはならないといいが。

「鍛錬に使っている空き地が近くにあります。この家の裏手の道を海に向かって少し行ったところです。広くて何もなく手つかずなので、すぐお分かりになると思います。」

『承知シタ!カァー!デハ後程、待ッテイルゾ。』

「ありがとうございます。炎柱様によろしくお伝え下さい。」


鴉は窓から飛び立っていった。遠くの空は白んでいる。早く少しでも眠っておこう。
私は窓を閉めて、再び布団へ潜った。




その後、ミネルヴァが髪を引っ張るので起きることができた。
窓の外はすでに陽が昇っている。
大変!待っているかもしれない!
急いで髪を整えて結い直し、隊服を着て、日輪刀を持ち、紅もつけずに外に出た。空き地は走れば数秒でつく距離。
家の前を裏手に続く道へ曲がり、更に突き当たりを曲がるともう見える。ああ、焔色の髪も見える…。これは怒られてしまう…。私は瞬間、言い訳も考えたがすぐに止めた。素直に謝ろう。
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