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桜月夜【鬼滅の刃】

第19章 黎明のその先へ【END2】




私と千寿郎さんのさっきと同じ、時が止まったように視線を交わす。


「月城…」



ポツリと独り言のよう。
複雑な気持ちになっているのが見えた。
怖くなったけど、ここまで来たから逃げるのは止める。

「ご無沙汰しております…。私もいいでしょうか?」

杏寿郎さんはため息のように息を吐いて「上がるといい」と言ってくれた。


私と炭治郎さんは「お邪魔します」と玄関へ入った。





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驚いた。
竈門少年の声がしてから俺も玄関へ向かったが、まさかそこに月城までいるとは思わなかった。

千寿郎を抱きしめているその姿は懐かしく微笑ましいものだったが…。

正直、どういう心持ちで迎えたらよいのか分からない。
だが来てくれたことはとても嬉しい。

「千寿郎。」

「はい、兄上。」

「二人を客間に通してくれ。俺は部屋をもう1つ用意してくる。」

「兄上、どちらも俺がやりますよ?」

「いや、いい。…頼んだぞ。」

「…はい!」



竈門少年等の部屋は用意していたのだが、月城の部屋は用意していなかった。
いつもの部屋を貸すことにはなるのだが、念の為確認した。
掃除はされているから大丈夫だな。
布団を敷いておくか否か……。少し悩んで敷くのはやめた。
灯りをつけてから部屋を出て襖を閉め、二人が待つ客間へ向かった。
楽しげな話し声がしたが、竈門少年と千寿郎の声だけのようだ。
もしやまた、彼女だけいないのではと不安になったが、襖を開ければ目が合い安心できた。


「待たせたな竈門少年!」

「いえいえ!」

にこやかに言う竈門少年には、来てもらって早々申しわけないのだが。

「すまない。先に道場で稽古をしていてくれるか?千寿郎、案内を頼む。」

「はい!」

千寿郎は察したのか切れのある返事をしてくれた。
それを見て月城は不安そうにしていて視線が合わない。

「月城。」


「は、はい!」


呼べば返事をしてくれる。それが俺にとってどんなに嬉しいことか。




「君には聞きたいことがある。別の部屋で話そう。」


月城は不安そうに竈門少年と目を合わせていた。
この二人はいつの間にそんな関係になっていたのだろう。

竈門少年が微笑みかけると、意を決したように頷いていた。

「はい。」

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