第19章 黎明のその先へ【END2】
「君は、無限列車の…?」
「はい。煉獄さんと一緒に乗車していました。」
この子、とても柔らかい雰囲気で優しいのだけど、背中に背負った箱から異様な気配がする。
つい目を向けると、彼の方から説明してくれた。
鬼にされた妹がこの中にいると。家族が鬼に殺されて、生き残ったのは鬼となった妹だけなのだと。
柱合会議で裁判にかけられ、柱たちに厳しい言葉をかけられたそう。杏寿郎さんからも最初は隊律違反故、兄妹共に斬首せよと言われたが、お館様と水柱様の計らいで、二人は鬼殺隊として認められたそうだ。
「煉獄さん…判断が的確で速くて、正義感も強くて、剣術もすごくて憧れます!俺と禰豆子のことも、鬼殺隊として認めてくれて…。あ…!今度稽古をつけてもらうんです!」
炭治郎さんは目をキラキラさせて誇らしげに語っていた。彼も家族を殺されてつらい目に合ったというのに、とても強い心を持っている。
数字がそれを示していた。
「良かったですね。柱に稽古をつけてもらえるのは光栄なことですよ。…そう…杏寿郎さんはもうお元気なのね。」
「はい。完治とまではいきませんが、先日はお家に戻られました。」
「そうですか。それが聞けて安心しました。話してくれてありがとう。」
「いえいえ。月城さんはどうですか?別なところで治療を受けていたんですよね?」
「お陰様で、すっかりよくなりましたよ。炭治郎さんは大丈夫なの?一瞬しか見えなかったのだけど、お腹の辺りを怪我していたでしょう?」
「はい、俺はもうすっかりこの通り元気です!」
そういうと力こぶを作るような仕草をして、私も自然と笑いが溢れる。
とても明るくていい子…。杏寿郎さんが継子にしたがるわね。
「あの…」
「うん?」
炭治郎さんは少し溜めてから話す。
「煉獄さんに会いに行かないんですか?」
「えっ…?」
まさかそんな事を聞かれるとは思わなかったので、反射的に聞き返してまった。
会いに行くことは、考えなかったわけではないけれど…。
「怖いの…。会ったら話さなきゃいけないでしょ?」
「煉獄さんは怖くないですよ?」
うーん、そういうことではないんだけど…。
「月城さんは煉獄さんのことが好きなんですよね?」
「えっ!?」
またよ。そんな事聞かれるなんて思わなかったから、声は裏返るし顔はどんどん熱くなる。
