第19章 黎明のその先へ【END2】
「あの、応援に来た女の人のことですよね?」
竈門少年が俺を見る。
「あぁ。君と同じ、水の呼吸を使う。階級は確か乙だっか。」
猪頭少年は「あいつそんな上なのか」と驚いていた。
「月城さんは以前、煉獄さんの継子だったんですよ。」
と胡蝶が言うと三人ともが驚いていた。
「途中で辞めさせてしまったがな。」
と言うと黄色い少年の顔が引きつる。
「継子の修行って厳しそうだなあ…」
「はっはっはっ!俺の稽古はキツイぞ!だが彼女は肺が弱いので、無理をさせれば命を縮めかねない。胡蝶のように医療に精通していれば良かったのかもしれないが…」
「そこまで手間をかけて育てることはできないんです。他にもやることはたくさんありますから、それだけ柱は多忙なんですよ。」
胡蝶が補足して説明した。
「胡蝶!今度はこの三人が俺の継子になるぞ!」
「ええ!?」
と驚いていたのは黄色い少年の方。
胡蝶はといえばただ微笑んでいた。
「良かったですね。煉獄さんに稽古をつけてもらえるなんて幸運ですよ?」
「おおう!すぐやろうぜ!」
「待て伊之助。煉獄さんはまだ傷が完治していないんだから…」
「すまない!すぐに治すから少し待っていてくれ!」
「少しってどれくらいだ!?」
「そうだな…」
「伊之助!」
賑やかな病室だ。明るい声が響く。
傷が痛むのも少しだけ忘れられるほどだった。
ここに彼女がいればな……。
ほんの一瞬だけ月城のことを思うと、不思議にも竈門少年がまた彼女のことを聞いてきた。
遠目で速くてよく分からなかったが、水の呼吸にしては動きが少し違ったような気がすると。
「月城は、自身の肺の弱さを理解していた。なるべく負担をかけずに力を発揮できる立ち回りや刀の振り方を研究していた。型も自分で考えていたから、そのせいだろう。」
「すごい…!それであんな独特な…」
竈門少年は目は驚きと尊敬を孕んでいた。
「だがな、あれは全集中の呼吸を使っていない。決して真似するな。」
「えっ!」
「全集中の呼吸とは違い、呼吸を全て吐き出し、止めたまま瞬間的に大きな力を発揮していた…。つまりは…」
胡蝶が気がついた。
「彼女の肺が弱いという体質から察するに、火事場の馬鹿力ですね。」