第19章 黎明のその先へ【END2】
「目が覚めたんですね!」
「ギョロギョロ目ン玉ァ!!」
二人共、俺に飛びかかるように抱きついて大泣きした。可愛い後輩に心配をかけたのは悪いが、慕われていることが単純に嬉しかった。
「皆無事だな!良かった!」
一人一人頭を撫でると嬉しそうに笑う。
「煉獄さんが助かって本当に良かったですー!」
竈門少年が泣きながら震える声で言う。
「うむ。俺はどれくらい眠っていた?」
「五日間ですよ。」
聞き覚えのある女性の声がする。
「胡蝶!」
いつの間にか胡蝶が病室に入ってきていた。
「世話をかけたな。」
「いえいえ。ご無事で何よりです。」
そういうと微笑んでいた。
改めて自分の身体を見ると、服の下は包帯でそこら中巻かれている。これは相当な重症だ。
胡蝶が人差し指を立てて状態を説明する。
「内臓の損傷と複雑骨折、それから左目は…残念ですが…」
「もう光を見ることはないか…」
やはりもう見えないのだと理解する。
少年らがまるで己を責めるように悲しい顔をするので、もう片方あるから大丈夫だと笑ってみせた。
そして気になることはまだある。
「胡蝶。」
「はい?」
「月城の容態はどうだ?」
胡蝶は深刻な表情で黙り込み、かと思えば微笑んで…
「無事ですよ。」
「…そうか!」
心の底から安堵した。
あの状態からよく助かったものだ。
ここに居ないということは、俺よりも早く回復したのだろう。そう思っていると…。
「ただ、外傷よりも肺の損傷が大きかったので私の手には負えない状態でした。」
「何…?では彼女をどうした?」
「月城さんはかかりつけ医がいますので、その方に治療をお願いしました。こまめに連絡を取り合っていましたので、経過がいいことは聞いていたのですが……」
急に濁らせるとは何だ。何かまずいことにでもなっているのだろうか。
「なんだ?はっきり言ってほしい。」
胡蝶は困ったようだったが…
「実は、昨日に病室を抜け出して、それっきり行方不明だそうです。」
俺はそれを聞いて驚くより頭を抱えた。
また完治する前に脱走したのかと。
それとも俺が見舞いに行くより先に行方を晦まそうとしたのか。
それは考えすぎか。