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桜月夜【鬼滅の刃】

第19章 黎明のその先へ【END2】


俺はその場に膝をついた。
森の中へ向かって刀を投げる竈門少年の姿が目に入ると、追うのは諦めようと思った。


そんなことより彼女の命の方が今は優先したかった。


うつ伏せになる月城の身体を仰向けに返す。


「月城!しっかりしろ!」


口元に耳を当てる。
呼吸していない。
脈はどうだ。
…微かだがまだある。


「要!!」


叫ぶ声も掠れる。要は賢い、もう医療班を連れてきた。


「煉獄様!ご無事ですか!」


隠の一人が言う。


「俺はいい。彼女を早急に治療しろ…!肺が弱い!呼吸がない!」


呼吸が…。


言いながら目の奥が熱くなるのか分かった。

月城は担架に乗せられ、酸素を送る器具を口にはめられて運ばれていった。
手には折れた日輪刀を握りしめたまま…。









泣くな…

きっと大丈夫だ。







遠く見えなくなるまで見送ると、ふっと力が抜けて…



そこからは覚えていない。















ーーーーーーーーー


いつも朝、目覚めるのと同じように目が覚めたが、身体が異常に重い。
頭と腹部に鈍痛がする。目には違和感がある。視界も狭いな。
重い手を動かしてそっと目に触れてみると、包帯の感触があった。眼帯だ。

あの上弦の鬼に目を潰されたのを思い出す。もう見えないかもしれない。
生きているだけ奇跡か。

ゆっくり身体を起こす。痛むがなんとかなった。
それで気がついたが、ベッドの傍らで竈門少年が眠っていた。
彼も重症だったのに、心配してここにずっといたのか。
彼の頭にそっと手を乗せる。





よく頑張ったな。




ゆっくり撫でていると千寿郎のことが浮かぶ。
きっと心配していることだろう。






「ん…」


竈門少年が頭を起こそうとするので手を避けた。
彼は寝起きでぼんやりとしていたが、俺と目が合うと驚いた顔をして声にもなっていないかった。


「あ…あぁ…!れ……」


「おはよう!」



身体は痛むが普段通りに振る舞った。
すると竈門少年の大きな瞳からボロボロと涙が溢れる。
そんなに心配をかけてしまったか。



「煉獄さーん!!!」



竈門少年が俺たちしかいない病室には大きすぎる声量で叫ぶと、どこからともなく足音が聞こえてきて、猪頭少年と黄色い少年が現れた。
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