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桜月夜【鬼滅の刃】

第19章 黎明のその先へ【END2】



杏寿郎さんは私を止めることはもう諦めたのか、鬼の頸を切ることに集中していた。
流石の鬼も戸惑い始めている。

あちこち切られて再生するので手一杯なんだ。これならもしかすると本当に倒せるのではないかと思ったが、私の息切れが早かった。

急に呼吸ができなくなり、視界がぐらりと揺れた。

私の方に振るわれた拳を杏寿郎さんが庇って刀身で受ける。が、拳はそのまま流れて彼の目に当たった。

あぁ……



私がここで何をしようと変えられないのかな…。



挑んでも挑んでも傷ついていく杏寿郎さんの姿がぼんやりと見えた。




「伍ノ型 炎虎!!」


炎の猛虎の如く噛みつく用に刀を振るうも、血鬼術で打ち消される。
もう立っているのがやっとのはず…。
腹部からも出血していて地面に滴り落ちた。


私は背筋に寒気を感じていた。
このあとの二人の考えが数字で現れていて、互いの数がぶつかるところで真っ黒く塗りつぶされて見える。

もうあとがないと理解した。










まだ、まだだ。




逃げるな…


諦めるな。





いつだって大切な人ほど守れなかった。





今までのことが走馬灯のように思い出されては流れていった。

たくさん気にかけてもらった。

たくさん助けてもらった。


たくさん大切にしてもらった。


生きているうちに恩返ししたい。






守りたい…!!





視線の先では杏寿郎さんが刀を構えて集中している。
あの構えは奥義…!

これで決めるんだ。鬼を見れば、やつもそれに応えるだけの力を溜めている。

確か…あの世界で見た最後は、地面に大きく抉られたような跡があった。
相当に大きな力がぶつかった跡。
そして杏寿郎さんは溝内に穴が開けられ、出血が多くて助からなかった。
あのときはもう日が昇っていた…。


今の時間は!?


東の空を見上げると…白み始めている!

あれより時間が進んでいる!

ここを乗り切れば鬼は陽光焼けを避けて逃げていくはず。



深呼吸はしようと思ってもうまくできなかった。
もう肺が潰れる寸前。

でも生きている限り力を尽くす…!


お父様…お母様……




私はもう逃げません



命を賭して守りたいものがあります。



でもどうか今だけ



力を貸してください……





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