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桜月夜【鬼滅の刃】

第19章 黎明のその先へ【END2】



ふいに思った。俺は誰のことを考えたんだ?
記憶が朧げでよく思い出せない。


誰に居てほしいと思ったんだ…?
千寿郎と話しながら、頭の中では違うことを考えていた。
すると


「杏寿郎さん、千寿郎さん。お茶にしましょう?」

耳に心地よい声がして、考えていた誰かが月城だと認識した。

そうだ、今日は来ていたんだった。

「行こう。」

「はい。」


千寿郎と共に居間へ行くと、茶と和菓子が三人分用意されていた。

だが、月城は居なかった。

何か用事があって一時的にいないのだろうと思い、座って先に茶を飲んだ。
だが、月城は戻ってこない。部屋で何かしているのか…。

「姉上、どうしたんでしょうね…?」

「うむ……先に食べてしまおうか。」


その間に来るだろうと思っていた。
だが和菓子があと一口だけになったのを見て、まだ来ないと居間の入口へ目を向ける。


「兄上?」


千寿郎のどこか心配そうな声で、見るのを止めた。


「来ないな…」


最後のひと口を口に運ぶ。


「きっと部屋でお酒を飲んでいるか、歴代炎柱の手記をお読みになっているのでしょう。…いつものように。」

その返事に違和感を感じて千寿郎に目を向けた。
それは…父の事だ。
なぜ俺が父の事を言ったと思ったのだろう。


ふと見ると、三人分あった和菓子は二人分になっている。
皿ごとない。まるで最初から無かったかのように。

どういうことだ。


「千寿郎……」



「はい?」



千寿郎に変わった様子はない。
さっきは確かに姉上と言っていたのだから、認識はあるはず。それなのに彼女も居なかったかのようなこの空気間。
何かおかしい。

「あの、兄上?どうしましたか?」

千寿郎の声に不安が孕む。

「いや、なんでもない!美味かったな!」

当たり障りのない返事をして、やり過ごした。
妙に違和感が残る。
探る必要があるだろう。血鬼術にも似た違和感なのだが、ここは俺の家だ。それも昼間。ここに鬼がでるとも思えん。
何が起きている…?


使った食器を片付けてから、俺は家の中をゆっくり歩き回った。
何か小さな変化はないだろうかと目を凝らし、気配を探る。
家に鬼がいるなら父上がまず気がつくとも思うが…何なのだこれは。

普段使わない部屋もよく調べた。だが特段おかしなところはない。
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