第19章 黎明のその先へ【END2】
それにしても愉快な三人組だな。
猪頭少年は列車に乗ったのが初めてらしく、窓から身を乗り出して大はしゃぎだ。黄色い少年が必死に面倒を見ていた。
そうか、この列車に鬼が潜むことを知らないか。
「危険だぞ。いつ鬼がでてくるかわからないんだ。」
鬼と聞けば黄色い少年が驚きこちらを見てきた。
「嘘でしょ!鬼出るんですか、この汽車!」
出る!といえば悲鳴のような叫び声を上げて、身体を仰け反らせていた。面白いな!
俺はこの列車に起きた出来事を説明した。
すると黄色い少年は降りる!と叫びだしたが、まぁ無理だな!
そんなことを言っているうちに車掌さんがやってきて切符に切り込みを入れてくれた。
一つ一つ丁寧に。
しかしどうだろう。途端に空気が変わった。
見えぬが、そこにいるのが分かる。
俺は刀をもって通路に立った。
「車掌さん!危険だから下がっていてくれ!火急のこと故、帯刀は不問していただきたい!」
言いながら奥の戸を見据えると突如、鬼が現れた。
乗客たちが怯え悲鳴を上げる。
狭い通路だ、刀の振り方を気をつけなければならん。瞬時に軌道を確認。
どんな場所、どんな形の鬼だろうと、この炎刀が全てを焼き尽くしてくれる!
炎の呼吸 壱ノ型 不知火
赫き刃が鬼の首をはねる。次の瞬間には全てを燃え尽きるように崩れていった。
少年たちが口を開けて見ていて
「す…すげぇや兄貴!見事な剣術だぜぇ!オイラを弟子にしてくだせぇ!」
彼はこんな話し方だったか?慕われるのは気持ちがいいがな!
「いいとも!立派な剣士にてやろう!!」
竈門少年に続き、黄色い少年も、猪頭少年までも俺の弟子になりたいと申し出てきた。
いいだろう!みんなまとめて面倒をみてやろう!
後輩を育てるのも先輩としての役目。慕われるのも気分が良い。
それ故にこの違和感に気づくことが出来なかった。