第19章 黎明のその先へ【END2】
しかしもう一人いるはずなのだ。この少年には鬼の妹がいる。それで彼は裁判にかけることになった。
「それで、その箱に入っているのが…」
「はい。妹の禰豆子です。」
「うむ。あの時の鬼だな。」
鬼と行動を共にするということは、隊律違反ではあるが、彼等はお館様より特別に許可されている。納得はまだいかないが、お館様がお認めになったのだから俺から言うことはない。
「ここに座るといい。」
座席の横を叩き、まずは三人を座らせて、残りの弁当をあげた。
「わぁ、美味しい!」
「そうだろう!まだあるぞ!沢山食べるといい!」
「いえ、十分です!」
「遠慮するな少年!」
「遠慮してないです!結構です!」
結局、猪頭少年がたんと食べたので買った弁当は全て食べきった。一つくらい土産にしておけばよかっただろうか…。
その後、少年からここへ来た理由を聞いた。
なんでも彼の父の神楽を戦いに応用できたらしいのだが、それが咄嗟にしても不思議と強い力を発揮できたようだ。ヒノカミ神楽と言うらしく、炎の呼吸に縁があるのではと思い俺の所へきたのだろう。
「だが知らん!!」
「ええ!?」
「ヒノカミ神楽という言葉も初耳だ!君の父がやっていた神楽が、戦いに応用できたのは実にめでたいが、この話はこれでお終いだな!!」
「あの、ちょっともう少し…」
「俺の継子になるといい!面倒を見てやろう!」
驚いたり慌てたりする少年に俺は炎の呼吸について、基本の呼吸について説明をした。その上で刀の色も尋ねたが…。
「色は黒です。」
「黒刀か!それはきついな!ハハハ!」
黒刀の剣士で柱になった者はいないと聞く。彼もきっと苦労するかもしれんが、俺が鍛えてみせよう。
彼は真面目そうだ。それに鬼舞辻を必ず倒すという強い信念もすでにある。意欲十分だ。