第19章 黎明のその先へ【END2】
まだ辺りは暗い。
ここから東京まで、私の足では丸一日も走れないし、どうやっていくのがいいかしら。
できるだけ体力も温存しておい。
そうよ、あっちも列車で向かってくるのだから、線路沿いを進めば必ず接触できる。
夕刻発の無限列車…横転したのは夜明けより前。場所は確か…土手があったからあの辺りかな?
日の出が見えた方向からして多分そう。
私は呼吸に注意しながら早足で向かった。
明日の夜明けまで…必ず救ってみせる!!
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行方不明者が多く出たとされる無限列車だが、運行再開初日でも乗客は多かった。
列車は八両編成か。微かに鬼の気配もある。だがどこに潜んでいるのかは探りづらい。
動きがあるまでは待機だな。
俺は前後の車両に移りやすいよう、真ん中の車両の座席に座った。
前日に救った弁当屋さんからのご好意で牛鍋弁当をもらったので、これを食べながら待つとしよう!
「いただきます!」
米と肉を一口。
甘辛い味付けと肉の旨味が口いっぱいに広がる。
「うまい!!」
関西のすき焼きとはまた違った味わいだ。
これはいくらでもいける!!
「うまい!うまい!」
弁当に舌鼓を打つ間に、列車は汽笛を鳴らして発車した。
窓の外は手を振る人々から、町へ、山へと景色を変えて、それを眺めながらの弁当を食べるのもまた良かった。
「うまい!うまい!」
「あのぉー…すみません……れ、煉獄さん…」
誰かが後ろから俺を呼ぶ。返事をしようと思ったが弁当がうまくて「うまい!」と言ってしまった。
「あの……もうそれは……すごく分かりました。」
そう言うのは先の柱合会議で裁判にかけられようとした少年だった。
その後ろに黄色い少年と、猪頭の少年もいる。
二人共鬼殺隊の隊士なのはその隊服ですぐに分かる。
猪頭少年は怪しいがな!
少年たちに暫し待ってもらいとりあえず弁当を十一箱食べ終えた。
改めて少年たちを見やる。
「君は、お館様の時の。」
「はい、竈門炭治郎です。」
彼は丁寧に自己紹介をし、後に控える少年二人のことも紹介してくれた。