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桜月夜【鬼滅の刃】

第19章 黎明のその先へ【END2】


『リアネヲ探スコトヲ諦メナイ!キット見ツケテミセル!ト、ホーガ申シテオリマス!』

『ホー!』

「ははは!そうか!」


鎹鴉と梟のやり取りの面白い事。
だが同じ思いを抱く者が梟と言えど、俺の他に居ることは心強い。


「俺も彼女はまだどこかで生きていると思う。きっと、帰ってくると信じている。」


言いながら梟の頭を撫でた。よく俺に懐いていてくれて嬉しいが、新しい主人は困っているだろうな。




月城がいつ帰ってきても良いように手紙を送ろうと思った。
彼女のことだから、時間が経てば経つほど気まずいと思ってしまうだろう。
だから、空白の時間をいつでも埋められるように、些細なことを書く…。


…だが、逆効果になってはしまわないだろうか。


そもそも彼女は俺と距離を置いていた。
俺の時間は流れているが、彼女の時間も同じように流れているとは限らない。

あまり気にしても戻ってこないかもしれない。


やはりもう少しだけ、様子を見よう。







ところが事態は案外すぐに変わった。
ひと月ぐらい経った頃だったか。



要から、月城らしき人物が遠く西の地にいると思われると報告があった。
金髪で白い羽織を着て、腰に刀を隠していると…。

ようやく訪れた期待に胸が膨らむ。
確か、そういう場所が彼女の出身でもあった。

確かめに行きたいが…どうしたものか…。






もしも、その者が月城だったとしたならば、なぜ帰って来ないのだろうか。

血鬼術が解けずに意識が混濁している?

…そうではなかったら?

向こうで羽根を伸ばしていることだって考えられるだろう。



手紙を……いや、場所がはっきりしない。


鴉に…はいささか無理がある距離だ。

可哀想だろう。



直接行きたいが任務は山積みだ。
ここを離れている間に鬼に襲われてしまう人がいるかもしれん。
俺の私欲のために他者の命を犠牲にするような真似は絶対にできない。

もう少し…様子を見よう。


もう少しだけ……。







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