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桜月夜【鬼滅の刃】

第19章 黎明のその先へ【END2】





このお屋敷、そうだったかしら?



思い出せないの?

それともご親戚?




忌中……。













少し離れて辺りを見渡す。








なぜか少しだけ違うような気がするけど…同じような気もする。
門扉を叩いて確かめることにした。


だけど誰も出ない。





違うよね、そうよね。



きっと…。







通り過ぎてしまおうとしたとき、車の走る音が聞こえてきた。


霊柩車だった。



ここで停まるのだろうとは思った。

そうすれば中から誰か出てくるだろうとも。



霊柩車は門の前で停まった。



門扉が開く。





開けたのは千寿郎さんだった。





「千寿郎さんっ…!」





声を掛けたが、彼はこっちを見ることもなかった。
目の下には隈ができていて酷く疲れているように見える。



待って。






じゃあこの霊柩車に乗っているのは誰?







霊柩車から柩が運ばれる。
いつの間にか千寿郎さんの後ろにはお父上様もいらっしゃった。


じゃあ、この柩は……






「あぁ…兄上……」






千寿郎さんが小さな声で呟くのを聞き逃さなかった。




まさか、そんな…


お父上様が柩を運ぶ部屋を案內するために中へ入られる。





「お待ち下さい!どういうことでしょうか!杏……」


「杏寿郎さん…!!」



私が名前を呼ぶ声と重ねて、別な女性が声を上げていた。


家の中から、着物姿の女性が駆けてきて、柩の横について泣き続けている。





私は唖然として立ち尽くした。

















…誰?










千寿郎さんは私と目を合わせることもなく門扉を閉めた。








どういうことでしょう?


千寿郎さんは、私を見えていないかのように振る舞った。

お父上様はともかく、あの女性は誰?
母上様は亡くなっているし、そもそも似ていないし。





怖かった。想像すると良くない方へ思い描いてしまって。
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