第19章 黎明のその先へ【END2】
婚約者の彼女も、これを付けてとても喜んでいたしな…。
「同じものがあるかはわからないが、日本橋の百貨店で購入したものだ。彼女も連れて見てみるといい。」
「ありがとう…。一生懸命働いて、連れて行くよ。」
「うむ!それがいい!」
言いつつ、俺は少しのお金を彼に差し出した。
受け取れないと言われたが、髪飾りを見つけて届けてくれたお礼だ。
彼の手にしっかり持たせた。
「君の婚約者は気立ての良い子と見た。君がしっかり支えなくてはな!」
伝えると男性は泣き出してしまった。
余程日頃から苦労があるのかもしれない。大変なことも二人で乗り越えてきたのだろう。きっとこれからも。
それが羨ましいと思う。
俺は…
本当に月城を見つけられるのだろうか。
見つけなくては。
迷っている場合ではない。
諦めてもいけない。
きっと無事だと己に言い聞かせる。
それから隣の町へ向かったが、そこでも収穫はなかった。
お館様にも連絡を取ったが、捜索しているものの見つからないという。
彼女の本来の指令も、鬼が出ないために無くなった。
できることならずっと捜索に集中していたいが、柱はそうもいかない。
任務、担当地区の警備、鍛錬の合間になってしまう。
俺が行けない時は信頼できる者に頼んだ。
だがなかなか情報がつかめない。
各地で神隠しや誘拐というのはわりとよくある。
特に近辺で多発すれば、すぐに向かって調査した。
鬼の仕業であったなら、彼女のことを聞き出そうとしたが、何も答えてはもらえず、倒しても帰ってくることはなかった。
きっと別の鬼だ。
まだ潜んでいるに違いない。
必ず頸を斬ってやる……!