第19章 黎明のその先へ【END2】
「有り難い!!特徴は稲穂のような金色の髪と、青空のような色の目だ。上背もある。居たら目立つだろう。」
「まぁそうですね…!分かりました。見かけたらすぐに声をかけます。」
「ありがとう!それでは…!」
あの男性の反応にはまだ不可解なところがあるが、なんとなく真相にたどり着くことは出来ない気がした。
…もう少し聞き込みをしてから町を出よう。
町を出るまでの道の途中で、いろいろな人に声をかけたが、それらしい情報はなかった。
やはり本来の目的だったもう一つ隣の町になにかあるか。
考えながら歩いていると、後ろから呼びかける男声が。
聞いた覚えがある。振り向くと、大志という男性がこちらに走ってきた。
女性は一緒ではなさそうだ。
「おぉ、どうした?」
男性は息を切らしていたが、手の中の羽根の髪飾りを俺に差し出した。
先程の女性はこれを外してしまったのか。
「すまない!本当は町の外で拾ったんだ!」
「なに!?…いやまて。君は拾いものを彼女に贈ったのか?」
話しを聞けば、彼はこの髪飾りを数日前に町の外で拾ったのだとか。
「綺麗だし、高価そうだったし、手放すのは勿体なくて。俺は正直稼ぎが悪いってのに、彼女はいつも俺に尽くしてくれるから。でも何もしてやれなくて…」
「君の気持ちは承知した。それで、これをどこで見つけた?」
「案内するよ。すぐ近くだから。」
彼は町の外へ案内してくれた。もと来た道だ。
町からそう離れていない。坂道の途中で拾ったとか。
俺も通った道だ。特に変わったところもない。
彼女が鬼と戦いこの髪飾りをここに落としたなら、それなりに争ったはず。なのに何もない。
「手がかりにはなりそうか?」
「……いや。来るときに通ったんだが、何も分からなかった。」
男性は申し訳無さそうに髪飾りを俺に差し出した。
持ち主に返したいと。
婚約者の彼女にも正直に話して、叱られたそうだ。なぜ黙っていたのかと。
「正直に話してくれてありがとう。」
髪飾りを受け取ると、男性は少し残念そうに見えた。