第18章 白日の中で待つ【END1】
「子の幸せを願わぬ親はいない。子供たちの幸せが私達の幸せだ。」と。
ならば私が考えるべきは死ではなく、幸せに生きることだと。恥ずかしながらようやく気が付きました。
貴方がもし、私に対してまだ気持ちを残していてくださるのなら、もう一度一緒にいさせてはもらえませんか?
私は杏寿郎さんのことを心から愛しています。その気持ちは変わりません。
今度の任務が終わったら、千寿郎さんに会いに行こうかと思います。終わり次第、もう一度手紙を出します。もしも都合が合いましたなら、続きはその時にでも。ー
手紙はこれで終わっていた。
不思議だ。
ただの文字の並びでも、彼女が綴ればまるで魔法にかけられたかのように心持ちが変わっていく。
俺はもう一度終わりの文面を読んだ。
心から愛している、と…!!
「あの、どうでしたか?」
「む!?」
甘露寺はずっと俺の様子を伺っていたようだ。
静かに手紙を畳み、胸ポケットにしまう。
「今度の任務が終わったら、我が家に顔を出しに来るそうだ。」
「それは…何事もなくまたお二人は元のように戻れると…?」
「うむ!そういうことだ!」
と認識している。
「やったぁ〜!よかったぁ!よかったよぉ〜!!」
甘露寺は感極まったのか、突然抱きついて来て喜びを表した。素直に表現できるのは良いことだ。
俺もこうしてはいられん!返事を書いて、やるべき事を片付けて必ず家に帰らなければ。今度はすれ違いたくない。
失礼のないように甘露寺を離した。
「喜んでくれてありがとう甘露寺。俺も今とても愉快な心持ちだ!そして彼女に会うために早急に任務を終えなければならない。」
「そうですね…!私はお二人を応援しています!」
「うむ!ありがとう!ではまたな!」
俺は挨拶を済ませてすぐに駆け出していた。
滞在先の藤の家に戻り、手紙の返事を書く。
ー月城。手紙をありがとう。君から返事をもらうことをどれだけ心待ちにしていたか。そして、心は決まったようだな。君にどんな葛藤があって、どれだけ悩んできたかを教えてくれて嬉しく思う。その結果俺を選んでくれたことも。月城の戻りに合わせて家にいるようにする。今後のことは二人でゆっくり話そう。ー
ここまで書いて筆を止めた。愛していると書こうか悩んだ。