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桜月夜【鬼滅の刃】

第18章 白日の中で待つ【END1】


「伊黒!奇遇だな。」

「ふん、貴様らと偶然出くわすなど何も得がない。」


伊黒は何かとネチネチと難癖をつけるが俺の隣の椅子をひいて腰掛けた。
当たり前のようにそこに座ることが少し嬉しい。

「俺と煉獄はたまたま会ったから飯もついでに喋ってただけだよ。」

と宇髄が説明する。

「伊黒は?食事か?」

「…下見だ。」

「下見?」

「あー、うまかったぞ。天丼しか食ってないけど。」

「うむ!ここは蕎麦もいけるぞ!」

「…そうか。この店がうまいと噂を聞いたが本当のようだな。なるほど…ここなら甘露寺も喜ぶかもしれん。」

「ああ!甘露寺もこの店は好きだぞ!俺が前に連れてきたときは喜んで沢山食べていたからな!」


なぜか途端に伊黒は黙りこみ、宇髄はコソコソと笑い始めた。
なぜだ、何が起きている!二人だけで何やら通じているような素振りはずるいのではないか?

「伊黒!甘露寺は…」

「わかった。もういい。黙れ煉獄。」

「む?」

宇髄が何やら俺に向かって、やめておけとでもいうように手を左右に振っている。
そうか…甘露寺を驚かせたかったのだな!

「そういえばよ、ここの通りから少し離れたところにうまい甘味屋もあるぞ。そこはどうだ?」

宇髄が提案するがその店は…。

「あぁ!あそこもうまいな!甘露寺と行ったとき…」

「もういい、煉獄。貴様とは話さない。」

「む!?なぜだ!」

「少し空気読めよ…」

「場の空気を読めと!?下見の話だろう?」


隣の伊黒から重苦しいため息が聞こえた。
なんだ、何がだめだった?
こうなってふと思った。俺のこういうところ彼女にも呆れられているのではないだろうか。

月城は優しいから何も言わないが、日頃の行いが蓄積されて実は愛想をつかされ始めているのではないか。


「煉獄?大丈夫か?」

「顔色が悪いぞ。急に。」

まずい、顔に出ていたか。

「うむ、問題ない…」


問題は山積みかもしれないが…。


「煉獄はどうしたのだ?」

「こいつもこいつで悩んでるんだよ。伊黒が甘露寺をどの店に連れて行こうか悩むのと同じくらい…いやそれ以上か。」

「宇髄貴様、それは侮辱か。」

「違ぇーよ。」




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